十勝川温泉　三余庵 さんよあん TokachigawaOnsen SANYOAN

この宿で料理長を務めるのは、吉田真二さん。
姉妹館「十勝川温泉第一ホテル　豊洲亭　豆陽亭」の料理も併せて指揮する総料理長でもある。
「私たちが守り育てて生きたいのは、この自然。そして、自然と風土が生み出す豊かな食文化」と、かつて支配人も務めていた料理長は、ただ美味しいものを出せばいいという考えではない。
もともと北海道の農業は、原生林を鍬一つで耕し、畑を作り、寒さと戦いながら作物を育ててきた。
そして現在、十勝平野は実りに満ちている。
十勝の食糧自給率は100％どころか1000％を超え、日本有数の食糧基地としての役割を果たすまでになった。
そんな先人たちの努力と精神を忘れることなく、一品一品を大切に、思いを込めて料理を作ること・・・これが、「三余庵」と「第一ホテル」の理念となっているのだ。

日本有数の食料基地・北海道十勝地方

食事処のテーブルには、アルプス岩塩とヒマラヤ岩塩が用意されており、お好みで料理に使うことができる。
アルプス岩塩は、ドイツの地下600mから採れたもので、甘みがあり肉によく合う。
ヒマラヤ岩塩は、チベット高原で採取されたもので、中辛でよく魚類に合う。
とは言え、食べ方は全く各個人の感覚でいい。
お客の好きなように、自由に食事を楽しんでいただきたいというのも、この宿のポリシーなのだ。

夕食の創作和食に合うお酒では、ワインをお薦めさせていただく。
リーズナブルなハウスワインから、ヴィンテージワインまで、幅広く取り揃えている。
赤ワインは、「ジュブレ・シャンベルタン」が人気。
フランス・ブルゴーニュの代表的な赤ワインで、あのナポレオンも愛した品種の一つ。
豊かな果実の香りとキリッとした酸味が、十勝和牛に良く合う。
白ワインでは、「シャブリ・プルミエ・クリュ」がおススメ。
しっかりとした酸味と奥底にある甘みのバランスがちょうどいい。
他に、宿オリジナルのハウスワインもある。
手ごろな価格ながら、中身は上質なフランスワイン「モメサン キュヴェ・サン・ピエール」だ。
ちなみに、「三余庵」の支配人を務める池田亮さんは、ソムリエの資格を持つ。
ワインに馴染みのない方でも、支配人に好みの味を選んでもらえば安心だ。

「ジュブレ・シャンベルタン」	「シャブリ・プルミエ・クリュ」	宿オリジナルのワイン（赤・白）

朝食は、嬉しいことに、和食と洋食好きな方をチョイスできる。
どちらも、十勝の旬を詰め込み、一品一品丁寧に作られている。
ドリンク、サラダ、フルーツなどは、ビュッフェスタイルで。
清水町スプリングファームのトマトジュース、愛媛産みかんジュース、自家製金時酢ドリンク、余市町のりんごジュース、「千年の森」の十勝産青汁、鹿追町カントリーホーム「風景」の手作り牛乳、ヨーグルトなど、好きなものが好きなだけいただける。

まずは、和食の献立からご紹介しよう。
鍋には、音更産大袖振大豆を使った湯豆腐。
生姜醤油とオリジナルラー油でいただく。吉田料理長特製のラー油は、お土産でも購入可能。
焼き魚は、十勝港に程近い広尾町産の一夜干なめた鰈か、同じく広尾産の縞ホッケを選択できる。
他におかずは、小鉢（十勝産ほうれん草のお浸し、糸かつお掛け、いくら）、季節の炊き合せ、十勝産大正金時の煮豆。
御飯は、美唄市茶志内（ちゃしうち）町産の「おぼろづき」。
普通の白御飯か、おかゆにすることができる。
厚岸産のあさりが入った味噌汁、紀州の梅干しなど香の物三種も付く。

朝食・和食の一例（2011年11月中旬取材）

洋食は以下の構成。
温野菜（中札内産鶏肉、木野産ブロッコリー、人参、揚げ）、ミート（本別産スモークハウスの手作りウインナー・ベーコン）、スモークサーモンサラダ、十勝産大正金時のさつまいもクリーム、コーンスープ（十勝産コーンと「風景」の牛乳を使用）。
パンは、地元・音更町にあるパン屋「のんびり屋」の自家製天然酵母のものを。
バター食パン、玄米パン、レーズンパン、ミニクロワッサンなどから、好みの物をセレクトできる。
パンに付けるバターは、根室湾の近くにある別海町産。
いちごジャムは、有機物だけで作られたオーガニックな物をご用意。
他のジャムでは、珍しいハスカップ（清水町のフルーツガーデンかみやまの手作り）のジャムもある。
ハスカップはブルーベリーに似た果実で、目の疲れを改善するアントシアニンは3倍も含まれているという。
卵料理は、生卵、温泉玉子、玉子焼き、スクランブルエッグ、目玉焼き、オムレツからチョイスができる。
十勝幌尻農場（完全無農薬農園）のこだわり卵は、栄養価が非常に高い。

朝食・洋食の一例（2011年11月中旬取材）

夕食朝食ともに感じられたのは、素材の良さ。
乳製品だけでなく、大豆、水、米、野菜など、全ての食材が新鮮で力強い大地の力が宿っている。
それを生かすために、一品一品丁寧に調理しているのもよく分かる。
食事のレベルの高さが、この宿の大きな武器になっていることは間違いではないだろう。