山あいの宿 喜安屋 - コラム~総括(2)-
前述のように、由布院や黒川など全国的にも有名な人気温泉地にはさまれるエリアにありながら、より豊かな自然環境とより長閑な雰囲気で筋湯温泉は生き残ってきた。 そんな筋湯の中でも最も固定ファンの多い宿が、ここ「山あいの宿 喜安屋」だ。温泉街から離れた全10室の露天風呂付き離れの宿は、現在の場所に移って以降、予約の取りにくい繁盛旅館となっている。 |
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緑に抱かれた「山あいの宿 喜安屋」 | |
この宿は、もともと共同浴場「うたせ大浴場」の近くの温泉街の中心にあった。 創業は1967年(昭和42年)。 創業者は矢野隆幸さんで、現社長の父にあたる。 この頃は酒屋と民芸品を売る店がメインで、2階に自炊のできる宿泊部屋が少しあるのみ。 特に屋号もなく、食事も出さない簡素な湯治宿のような佇まいで、旅館としての体は成していなかったという。 この年は、日本が「東洋の奇跡」と呼ばれた高度経済成長期の真っ只中の時期であった。 また、森永製菓がチョコボール、世界初のロータリーエンジン車のコスモスポーツ(東洋工業)が発売された。 プロ野球では、のちにV9を達成する巨人が3連覇を成し遂げた年でもある。 ここで、二代目にあたる現社長の矢野達也さんの経歴をご紹介しよう。 1960年(昭和35年)にこの地で生まれた達也さんは、中学で野球部、高校でサッカー部に在籍したスポーツマンだった。 高校卒業後、福岡県北九州市にある大学に入学。 ちなみに、こちらもスポーツが盛んで、福岡ソフトバンクホークスに所属する新垣渚投手と馬原孝浩投手は同大学出身である |
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卒業後、1982年(昭和57年)、家業の酒屋を継ぐつもりで筋湯温泉に戻った。 その頃はまだ、自分が温泉旅館を経営するとは思っていなかったという。 翌年の1983年、大学時代に知りあった充子さんと結婚をし、その後3人の子宝に恵まれる。 |
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そして、1984年(昭和59年)に長男の達也さんが戻ってきた事もあり、温泉旅館として再スタートを切る。 さらには、お客から食事を出してほしいとの要望もあったからだ。 この時、先代の隆幸さんが、旅館としての営業申請をするため保健所に出向いたが、その場で担当者に聞くまで屋号を登録するということを忘れていたらしい。 慌てていたが、その場で考えついたイメージは、「(誰もが)喜んで安心してもらえる宿」。 そこから「喜安屋旅館」という名が思い浮かんだという。 |
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また、郷ひろみが「2億4千万の瞳」、安全地帯が「ワインレッドの心」「恋の予感」をヒットさせた年でもあった。ちなみに、この年は、アップルが初代マッキントッシュを世に送り出し、植村直己がマッキンリーの単独登頂に成功し(翌日消息不明)、そして、グリコ森永事件が起きた年である。 | |
社長の矢野達也さん | |
達也さんは社長である父をサポートしながら、宿と酒屋を営んでいたが、すぐ隣りの熊本県・黒川温泉が1986年(昭和61年)以降大ブームを起こし始めていた。 | |
各旅館のお風呂を3ヶ所入れる「入湯手形」の企画が大ヒットし、さらには、街全体に植栽、植樹を敢行し、宿ごとに掲示していた看板も撤去し、宿の壁、柱まで同じ色にし、統一感を持たせ、温泉街を、下駄を履き浴衣を着て、そぞろ歩く事の楽しさを提案したのだ。 | |
山の湯宿の雰囲気を温泉地全体で醸し出すその手法は、多くのマスコミに取り上げられ全国からお客が殺到したのである。 この頃の「喜安屋旅館」は際立った個性がある温泉旅館ではなかった。 木造3階建てで風呂が5つあるが部屋は7室しかなく、しかも部屋にトイレも付いておらず、都会から来る客を満足させる事は難しいと達也さんは考えていた。 そこで、1990年(平成2年)に黒川温泉の旅館の経営者に会い、風呂の作り方から、宿の売り出し方まで教わる機会を得る事となった。 大きな感銘を受け、まずは1993年(平成5年)に風呂を改装してみた。 現在の宿の名物「赤石風呂」の原型であった。 と同時に、黒川温泉と同じことをしてもお客が来ることはないとも理解した。 ハード面では太刀打ちできないが、それでも地道に細やかな「おもてなし」を心がけていくことが大事だと、心に刻んだ。 すると、徐々にではあるが、お客が増えていったという。 |
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その中でも筋湯温泉は、この温泉郷の中で宿泊施設が最も多い温泉地となっている。 「筋湯」という名は、"筋肉をほぐす湯"として肩こりや筋の凝りなど「筋の病に効く」ということが由来らしい。 そして、筋湯温泉のキャッチコピーは、「日本一の打たせ湯」。 4つある共同浴場のひとつ「うたせ大浴場」は、その名の通り18本の打たせ湯が自慢だ。 2mの高さから湯がバチバチっと落ちる湯の音は豪快そのもの。 温泉自体の温熱作用のほかに、湯圧による物理的効果も期待できるわけだ。 |
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矢野社長手作りの赤石風呂 |
山あいの宿 喜安屋 宿泊レポート
コラム
大分県中西部、玖珠郡に属する九重町に筋湯温泉はある。 九重町は東は由布市や竹田市に、北西は玖珠町、南西部は熊本県阿蘇郡に接している。 九州山地の一角を占めており、全体が山地となっている。 筋湯温泉の位置関係を温泉地で説明すると、由布院(大分県)は南西方面にクルマで37㎞。 黒川温泉(熊本県)は北東方面で1......
この宿のキーワード | |||
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全10室が離れの露天風呂付き客室 | |||
屋根付き屋外通路で結ばれた施設棟 | |||
野趣満点の源泉かけ流し貸切露天風呂 | |||
閑静で秘湯情緒たっぷりの山間の湯宿 | |||
地の旬の食材を並べた珠玉の献立 | |||
こんな人はOK | |||
山の大自然に囲まれた環境をこよなく好きな方 ・温泉は源泉かけ流しに限ると思う方 |
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こんな人はNG | |||
温泉宿にカラオケ・居酒屋が必要だと思っている方 部屋から一歩出ると屋外になるのが苦手な方 |
IN | 15:00 | ||
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OUT | 10:00 | ||
カード使用 | 可(Visa、MasterCard、JCB) | ||
部屋の眺望 | 庭園 | ||
部屋食 | 個室の御食事処 | ||
夕食の内容 | 地産地消にこだわった和食 | ||
朝食の内容 | 和食 |
公式HPネット予約特典 | 【ベストレート(最低価格)保証】
公式HPからの予約が一番お得な料金になっております。 ・秘湯を守る会スタンプラリー(スタンプ10個で1泊無料ご招待) |
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お得なプラン | 「平日限定・4名様以上1室がお得」プランなどお得なプランの詳細は公式をチェック★ | ||
8帖タイプ/露天風呂付き離れ (定員2~3名) |
¥20,900~ 休前日アップ料金 ¥550~ 全6棟 間取り・・・踏込+8帖+広縁(板の間)+ミニキッチン+客室露天風呂+T |
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10帖タイプ/露天風呂付き離れ (定員2~4名) |
¥22,000~ 休前日アップ料金 ¥1,650~ 全2棟「風」「空」 間取り・・・踏込+10帖+広縁(板の間)+ミニキッチン+客室露天風呂+T |
創業/改築 | 創業:1967年(昭和42年)/改築:2006年(平成18年)/改装:2009年(平成21年) | ||
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部屋数 | 全10室 | ||
収容人数 | 30名 | ||
貸切風呂 | 料金 :宿泊の場合 無料 利用時間 :15:00~22:00、翌5:00~10:00 ※宿泊客の休前日(繁忙日)の貸切可 予約方法 :予約なし(先着順) 眺望 :庭園 |
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大浴場・他 | 男女別大浴場(男女の入れ替えなし) | ||
駐車場 | 10台 | ||
ペット | 不可 | ||
バリアフリー | 非対応 | ||
エステ・マッサージ | エステなし マッサージ40分¥4,000~ ※要予約 | ||
インターネット | 無料 Wi-Fi あり | ||
DVD | なし | ||
TVチャンネル | 地デジ対応 | ||
施設 | - | ||
冷蔵庫のシステム | 持ち込み専用冷蔵庫(冷凍室不可) | ||
自動販売機 | あり | ||
売店 | アイスクリームあり(¥200~) |
浴衣 | ◎ | バスタオル | ◎ |
タオル | ◎ | 石鹸 | ◎ |
ボディソープ | ◎ | シャンプー | ◎ |
コンディショナー | ◎ | リンスinシャンプー | ◎ |
シャワーキャップ | ◎ | 歯ブラシ | ◎ |
ドライヤー | ◎ | ブラシ | ◎ |
くし | ◎ | カミソリ | ◎ |
綿棒 | ◎ | 洗浄機付きトイレ | ◎ |
車いす | - | ||
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お子様 | 子ども用スリッパ/子ども用浴衣・半纏/子ども用食器 | ||
外国語 | - |
オススメお土産 | 「福を呼ぶ風の子」 | ||
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近くのコンビニ | クルマで30分 | ||
携帯アンテナ | ◎docomo | ◎au | ◎softbank |
料金 | - | ||
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利用時間 | - | ||
※食事付きプラン(要予約) | |||
料金 | - | ||
食事の内容 | - | ||
設定日 | - | ||
受付時間 | - | ||
その他 | - |
料金 | - | ||
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利用時間 | - | ||
その他 | - |
電車 | JR豊後中村駅下車~バスにて45分~「筋湯温泉」下車 | ||
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送迎 | なし | ||
クルマ | (大分・福岡方面)大分自動車道・九重ICより30分 (熊本方面)やまなみハイウェイなどで2時間 | ||
周辺観光スポット | 九重“夢”大吊橋、小松地獄 | ||
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レクリエーション(観光農園、公園など) | ヘリコプター遊覧飛行(久住高原スカイパークあざみ台)、外湯巡り、キャンプ | ||
スポーツ | - | ||
スタッフより | 社長 矢野達也さんからのコメント 2006年に温泉街の中心から少し離れた静かな土地に移転をして、全ての客室を離れにし、源泉かけ流しの露天風呂を付けさせていただきました。 朝は鳥のさえずりに耳を澄ませながら、夜は星空を眺めながら静かな時間をご堪能ください。 |
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取材日 | 2012/06/22 | ||
一部情報更新日 | 2023/05/17 | ||
※予約問合せの際は、必ず「貸切温泉どっとこむ」を見たと言ってください。 |
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Socials
この宿の記事制作者
温泉コム株式会社 代表取締役
30年以上前から、全国の温泉宿をまわり続け、「貸切風呂」の必要性を宿主に説いていた。 今でも、一年の半分を温泉宿で過ごす旅人でもある。 コラムニスト、カメラマン、ドローンパイロットの他に、ホームページのデザイン、コンサルタント業務もこなす。