藤七温泉　彩雲荘 とうしちおんせん　さいうんそう Saiunsou

藤七温泉・彩雲荘は、岩手県、秋田県の県境、標高1400mに建つ秘境の山の宿だ。 夏は高山植物が生い茂り、八幡平の大パノラマを独占できる位置にある。 紅葉の時期はまさに絶景のど真ん中に宿があるといった印象。 しかしながら、その東北一の高地にある影響で豪雪に閉ざされるため、毎年11月1日から翌年4月初旬まで休業している。 まさに冬眠する湯宿と言える。 携帯電話も当たり前のように繋がらない。 テレビも地上波は映らない。衛星放送のみロビーで見られる。 ここの魅力はなんといっても温泉。 乳白色のお湯は、館内６つの露天風呂（混浴露天２、男湯の展望露天１、女湯の展望露天２、女性専用の露天１）と、５つの内湯（混浴１、男湯１、女湯１、貸切風呂２）に注がれている。大自然の景観の中で湯浴みする贅沢は、なかなか味わえない。 日常の慌しさを忘れさせてくれる、ゆったりした時間が流れていく。 料理も山の宿らしい、素朴な献立が並ぶ。 夕食時に、館長自ら、地元の方言で楽しいお話を聞かせてくれるのも楽しい。 旅人にとっていい思い出になるだろう。 木造２階建ての、古めかしい佇まいだが、それがいかにも東北らしい、いい味、いい雰囲気を醸し出している。 雪が溶けたら、また行きたくなる、そんな魅力的な宿なのである。（J）