十勝川温泉第一ホテル　豊洲亭　豆陽亭 とかちがわおんせんだいいちほてる　ほうしゅうてい　とうようてい TokachigawaOnsen Dai_ichi Hotel HOSYU_TEI TOYO_TEI

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1931年（昭和6年）に、豊洲氏は十勝川沿いで発動機を使った温泉掘削を始める。 そして翌年に温泉湧出に成功。 泉温42℃、湧出量は毎分900リットルと、充分な温度と湯量の源泉を手に入れた。 そして、改めて「十勝川温泉」と呼称し、「十勝川温泉ホテル」と銘打って、旅館建設に着手をはじめる。 その姿は、一部三階建の斬新な洋風ホテルで、川の流れと十勝平野を一望できるものであった。
雄大な姿を見せる十勝川
しかし、1932年（昭和7年）、豊洲氏は、完成前にしてこのホテルの権利を、こころならずも建築を請け負っていた友人に売却してしまう。 この頃は、昭和3年に焼失してしまった「笹井旅館」が再開していなかったため、「十勝川温泉」と名乗っても、「雨宮温泉旅館]と「十勝川温泉ホテル」の2軒しかなかった。 そこで、温泉地として施設を充実させるため、新たに泉源の掘削を始める。 そして、より高温の温泉を掘り当て、1934年（昭和9年）には再び温泉旅館「観月」の建築に着手しオープンさせた。 旅館の規模や内容は、「十勝川温泉ホテル」とは大分見劣りはしたが、温泉地を売り出す拠点としての意義は大きかった。 この頃、「十勝川温泉」という温泉地の名称も、豊洲氏の尽力により、一般的に普及するに至った。 その後、数軒の旅館や土産物屋が温泉街を形作っていき、温泉地としての実質的なスタートが切られたのだ。
ライトアップされる十勝中央大橋
しかし、その頃、豊洲氏は、突然の病に倒れてしまう。 2つの旅館建設だけでなく、国立公園の編入に向けて奔走し、それらの過労がたたったのだろう。 十勝の将来に想いを馳せていたが、1935年（昭和10年）の冬に46歳という若さで帰らぬ人となった。 その亡き父の遺志を継いだのが、先代の社長である林克己氏（現社長・文昭氏の父）。 当時24歳の若さで、事業を受け継ぐことになったわけだ。 しかしながら、第二次世界大戦（1941～45年）が勃発すると、混乱が続く中で、「十勝毎日新聞」は発行の中断を余儀なくされた。 旅館の「観月」も人手に渡さざるを得なかったという。
	戦後、事業の再開を目指した克己氏は、1946年（昭和21年）にまず「週刊十勝毎日」を発行。 そしてついに1952年（昭和27年）、待望の「十勝毎日新聞」復刊を果たす。 そして、亡き父が事業の両翼としていた観光事業の復活も目指すことになる。
現在の「十勝毎日新聞」社[©On-chan]
温泉掘削を始めた場所は、豊洲氏が一度掘削なかばで中断した場所であった。 父の見立てを信じ、必ずやその意志を受け継ごうという想いからだったのだ。 そして、硬い岩盤の下から、見事43度の源泉をひくことに成功した克己氏は、1955年（昭和31年）に宿をオープン。 木造モルタル平屋建て、わずか客室数10の「十勝川温泉クラブ」が創業した。 現在の「十勝川温泉第一ホテル」の歴史がここから始まったわけだ。
現在の「十勝川温泉第一ホテル」（2011年10月撮影）[ 画像提供：十勝川温泉第一ホテル ]

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