温泉の効能
私たちが訪れる温泉は、全て国が指定する機関において源泉ごとに化学的な成分分析を行い、都道府県知事から利用許可を受けているものです。すべての温泉はこの化学的な分析データをもとに泉質が決められています。
さてこの泉質とはいったいなんなのでしょう?私たちがみんな顔や性格が違うように、温泉も温度の違いや色の違い、においの違いなど様々な個性を持っています。様々な個性の中で、温泉水に含まれている成分の違いが温泉の泉質なのです。
温泉の泉質の種類 | |
単純温泉 |
泉温が25℃以上で、温泉水1㎏中に含有成分が1.000mgに満たないものです。pH8.5以上のものをアルカリ性単純温泉と呼んでいます。肌触りが柔らかく、癖のない温泉です。 ▼主な温泉地 岐阜県・下呂温泉、長野県・鹿教湯温泉など、多くの温泉地 |
二酸化炭素泉 | 温泉水1㎏中に遊離炭酸1,000mg以上を含むものです。入湯すると全身に炭酸の泡が付着します。日本には比較的少ない泉質です。飲用すると炭酸の爽やかな咽越しが楽しめます。 ▼主な温泉地 大分県・長湯温泉、 山形肘折温泉郷・黄金温泉など |
炭酸水素塩泉 | 温泉水1㎏中に含有成分が1,000mg以上あり、陰イオンの主成分が炭酸水素イオンのものです。陽イオンの主成分により、ナトリウム炭酸水素塩泉やカルシウム炭酸水素塩泉、マグネシウム炭酸水素塩泉などに分類されます。 ▼主な温泉地 和歌山県・川湯温泉、 長野県・小谷温泉など |
塩化物泉 | 温泉水1㎏中に含有成分が1,000mg以上あり、陰イオンの主成分が塩素イオンのものです。日本には多く見られる泉質で、陽イオンの主成分により、ナトリウム塩化物泉、カルシウム塩化物泉、マグネシウム塩化物泉などに分類されます。
塩分が主成分となっているので、飲用すると塩辛く、塩分濃度が濃い場合は苦く感じられます。 ▼主な温泉地 静岡県・熱海温泉、 石川県・片山津温泉など、多くの温泉地 |
硫酸塩泉 | 温泉水1㎏中に含有成分が1,000mg以上あり、陰イオンの主成分が硫酸イオンのものです。陽イオンの主成分により、ナトリウム硫酸塩泉、カルシウム硫酸塩泉、マグネシウム硫酸塩泉などに分類されます。 ▼主な温泉地 群馬県・法師温泉 静岡県・天城湯ヶ島温泉など |
含鉄泉 | 温泉水1㎏中に総鉄イオン(鉄Ⅱまたは鉄Ⅲ)を10㎎以上含有するものです。陰イオンによって炭酸水素塩型と硫酸塩型に分類されます。温泉が湧出して空気に触れると、次第に鉄の酸化が進み赤褐色になる特徴があります。また、鉄の含有量が10㎎に達していない場合などは、炭酸水素塩泉や硫酸塩泉等に分類されますが、鉄の酸化によって温泉水の色は含鉄泉と同様に赤褐色や茶褐色になります。 ▼主な温泉地 兵庫県・有馬温泉 |
含アルミニウム泉 | 温泉水1㎏中に含有成分が1,000mg以上あり、陰イオンとして硫酸イオン、陽イオンとしてアルミニウムを主成分とするものです。アルミニウム・鉄(Ⅱ)-硫酸塩泉(旧泉質名で「明礬泉」と呼ばれていたもの)は、群馬県・万座温泉などにみられます。 ▼主な温泉地 群馬県・万座温泉 など |
硫黄泉 | 温泉水1㎏中に総硫黄2㎎以上含有するものです。単純硫黄型と硫化水素型に大別され、わが国では比較的多い泉質です。タマゴの腐敗臭に似た特有の臭いは、硫化水素によるものです。 ▼主な温泉地 栃木県・日光湯元温泉、神奈川箱根温泉郷・小涌谷温泉など |
酸性泉 | 温泉水の中に多量の水素イオンを含有しているものです。多くの場合は、遊離の硫酸や塩酸の形で含まれ、強い酸性を示します。ヨーロッパ諸国では殆ど見られない泉質ですが、わが国では各地でみることができます。 ▼主な温泉地 秋田県・玉川温泉、群馬県・草津温泉など |
放射能泉 | 温泉水1㎏中にラドンを20(百億分の1キュリー単位)以上含有しているものです。放射能というと人体に悪影響を及ぼすと考えがちですが、ごく微量の放射能は、むしろ人体に良い影響を与えることが実証されています。 ▼主な温泉地 鳥取県・三朝温泉、山梨県・増富温泉など |
暖かい湯船で体の芯までポカポカになって、日頃の喧騒を忘れてリラックスして・・・これだけでも十分温泉の効果の表れなのですが、温泉は昔から湯治として実際の治療法としても用いられてきました。温泉で精神的にリラックスできて医学的にも効果があるなんてなんて素敵なんでしょう。でももちろん万病に効くというわけではありませんし、逆効果になることもあるのです。
ここでは効果のある病気(適応症)、逆効果になる病気(禁忌症)、そして上で見た泉質別の効能を見ていきましょう。
+温泉の一般的禁忌症+
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+温泉の一般的適応症+
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いかがでしたか?
何気なく入っていた温泉にもこれだけの種類と効能があるのです。
温泉選びの目安の1つに加えてみてもいいかもしれませんよ。