彩華の宿 多々見 - コラム~総括(2)-
薬王院温泉寺が勅願寺として盛栄していくと、徐々に山代温泉の名も知られていった。 そして、全国から人が集まるようになり、それぞれの文化の香りが、山代の地でさまざまに行き交ったのだ。 1565年(永禄8年)には、戦国武将・明智光秀が10日に渡って山代に滞在し、戦で負った傷を治すために湯治をしたと伝わっている。 光秀が織田信長の家来になる前、越前で朝倉義景に仕官していた頃の逸話だ。 |
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歴史ある山代の湯が注がれる「多々見」の女湯・陶器風呂 | |
秀吉の天下統一後、加賀には初代藩主・前田利家が入城し「加賀百万石」として栄えていく。 そして領内の山代温泉には、利家をはじめ、歴代の藩主たちが代々訪れたという。 利家の四男で、第三代藩主の前田利常は、当地の治水工事に力を注ぐなど温泉街を大いに発展させた。 また、利常の息子、前田利治に至っては、自分専用の湯壷を造らせ、番人を置いて管理させたほどだった。 歴代の前田家の人間を虜にしてきたのが、山代温泉なのだ。 長い歴史と独自の文化を積み重ねてきた山代温泉は、明治時代以降、多くの文化人に愛されてきた。 明治~昭和にかけて活躍した歌人、与謝野鉄幹(1873年~1935年)と、その妻である与謝野晶子(1878年~1942年)は、揃ってこの地に訪れた。 現在、2人の歌碑が温泉街に点在して立てられている。 |
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「山代の いで湯に遊ぶ 楽しさは たとえて言えば 古九谷の青」という句は、山代温泉の静寂の雰囲気と頭に湧き上がってくる色彩イメージを、この地で伝わる九谷焼きの青手古九谷(あおでこくたに・赤を全く使わずに塗り埋める技法)に例えた。 | |
与謝野鉄幹の歌碑 | |
他にも、「九谷なる かまが作るも 山代の 薬王院に咲けるも椿」、「山代の いでゆめでたし 山山が つらなる雪の はらからのごと」といった名句を歌った。 地元の金沢市が生んだ文豪・泉鏡花(1873年~1939年)は、郷土をテーマにした作品を数多く発表しているが、ここ山代温泉を舞台とした作品で、「みさごの鮨」という短編がある。 山代各所の風景が実名で描かれ、人情が心に染みる作品だ。 また泉鏡花は、「夢もおぼろな山代温泉」と、この地を表現した一文も残している。 |
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食の世界・陶芸の世界でその名を知られる、芸術家・北大路魯山人(1883年~1959年)も、山代との係わりが深い。 山代温泉街の中心「湯の曲輪」の近くには、魯山人寓居跡「いろは草庵」が今に残っている。 | |
与九谷焼 | |
老舗旅館「吉野屋旅館」の食客として迎えられた魯山人は、提供された別荘(現いろは草庵)で、旅館の看板や彫刻をするなどして、半年間滞在したという。 山代の旦那衆も別荘で暮らす魯山人を訪ね、書や美術、骨董について語らい、それ以来別荘は山代の文化的なサロンとなった。 初めての作陶、料理の手ほどきをうけるなど、魯山人にとってこの「別荘」は、彼の原点となった故郷と言えるだろう。 歴史的な人物や文人墨客に愛されてきた北陸一の古湯・山代温泉にあって、「彩華の宿 多々見」は比較的新しい宿。 それでも、この宿の歴史は、戦後間もない頃からスタートしている。 1945年(昭和20年)、多々見三郎氏が、能登半島の付け根に位置する高松町(現かほく市)から山代の地に移り住み、鮮魚店の経営を始めた。 地元の旅館やお隣りの山中温泉へ、魚の卸しをし、生計を立てていたという。 1953年になると、三郎氏は料理の仕出しを始める 当時の温泉旅館では、宿の中で料理を作ることはほとんどなく、料理は、料理屋から仕出しするのが普通だったのだという。 多くの旅館へ仕出しをしながら、料理の道を究めていった三郎氏は、1964年(昭和39年)「料亭 多々見」を創業する。 ある日、料亭の常連客の一人が、三郎氏にこんなことをぼやいた。 「せっかく旨い料理を食べたところで、このまま家に帰るんじゃあ、一気に酔いも冷めてしまう。温泉に入ってこのまま布団にもぐりこめたら 最高なんだけどなぁ・・・」と。 この何気ない一言が、三郎氏の道を変えるきっかけとなったのだ。 料亭から旅館へ。 1968年(昭和43年)、旅館「多々見」として新たなスタートを切った。 当時は2階建ての小さな料理宿だった。 この頃の日本は経済成長期。 北陸本線の電化、北陸自動車道の開通に伴い、山代温泉も関西の奥座敷として発展。 多くの観光客が訪れた。 「多々見」も、数年に一度は増改築するほど、順調な経営だったという。 |
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「彩華の宿 多々見」の外観 |
彩華の宿 多々見 宿泊レポート
コラム
霊峰・白山火山脈の流れを組む山代温泉は、北陸地方随一の古湯である。 その開湯は、今からおよそ1300年前の725年(神亀2年)のこと。 旅の僧・行基が白山登拝の際、山代の里の通りすがりに、岩間から湧き出でる湯で一羽の烏が翼を癒す光景を見たと、温泉寺略縁起が伝えている。 山代の湯が、古くから「烏の湯」と称されているのは、この開湯伝説からだ。 山代温泉の歴史を証明する......
この宿のキーワード | |||
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屋上にあるタイプの違う2つの貸切露天風呂 | |||
スタイリッシュな源泉風呂付きスイートルーム | |||
贅沢さが漂うベッド型の貸切岩盤浴 | |||
お部屋でいただく絶品の加賀創作会席 | |||
ご夫婦、家族客や女性客に心配りのある宿 | |||
こんな人はOK | |||
・赤ちゃんや小さなお子様同伴でも、温泉旅行を楽しみたい方 ・リーズナブルな料金でも、本当に美味しい料理を食べたい方 |
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こんな人はNG | |||
・加賀地方の伝統文化や歴史を、建物全体で感じたい方 ・コストパフォーマンスよりもラグジュアリーを求めている方 |
IN | 15:00 | ||
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OUT | 10:00 | ||
カード使用 | 可(VISA、JCB、DC、AMEX) | ||
部屋の眺望 | 市街地 | ||
部屋食 | 部屋または個室料亭(夕朝) | ||
夕食の内容 | 加賀創作料理 | ||
朝食の内容 | 和定食 |
公式HPネット予約特典 | 【ベストレート(最低価格)保証】
公式HPからの予約が一番お得な料金になっております。 1組様につき館内利用券1,000円分プレゼント。 ※但し、2食付きのプラン限定。 |
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お得なプラン | 妊婦さんのためのマタニティプラン、蟹づくしプラン、一人旅プランなどお得なプランの詳細は公式をチェック★ | ||
10帖以上和室タイプ「もえぎ」 (定員2名~) |
¥16,500~ 休前日アップ料金 ¥1,100~ | ||
温泉風呂付き和洋室 「芽生(めばえ)」 (定員2~4名) |
¥27,500~ 休前日アップ料金 ¥1,000~ ・部屋食不可。料理は個室食事処でいただく。 ・間取り・・・和リビング(6帖琉球畳)+ツインベッドルーム+温泉内風呂+T |
創業/改築 | 創業:1968年(昭和43年)/改築:1996年(平成8年)/改装:2006年(平成18年) | ||
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部屋数 | 30室(和室28室・温泉付和室1室・洋室1室・和モダン1室) | ||
収容人数 | 100名 | ||
貸切風呂 | 貸切露天風呂×2 料金 :宿泊の場合無料で利用可能 利用時間 :15:00~23:00 予約方法 :事前予約(宿泊予約時)・チェックイン時 眺望 :庭園 |
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大浴場・他 | 男女別大浴場あり ※貸切露天風呂「菊花の湯」と「蘭花の湯」は、翌朝6:00から9:30まで男女別の露天風呂になる | ||
駐車場 | 40台 | ||
ペット | 不可 | ||
バリアフリー | 一部対応 | ||
岩盤浴 | 1名2,500円、2名2,000円(55分コース) | ||
インターネット | なし | ||
DVD | なし | ||
TVチャンネル | NHK2局 民放5局 | ||
施設 | カラオケ・宴会場・喫茶室・売店 | ||
冷蔵庫のシステム | ドリンクが入っていない(館内に自販機あり)※客室によっては冷蔵庫なし 内風呂付き「芽生」にはあり。ミネラルウォーターはサービス 冷凍室:不可 |
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自動販売機 | ジュース、アイスクリーム(ハーゲンダッツ) | ||
売店 | あり(アイスクリーム無し) |
浴衣 | ◎ | バスタオル | ◎ |
タオル | ◎ | 石鹸 | ◎ |
ボディソープ | ◎ | シャンプー | ◎ |
コンディショナー | ◎ | リンスinシャンプー | ◎ |
シャワーキャップ | ◎ | 歯ブラシ | ◎ |
ドライヤー | ◎ | ブラシ | ◎ |
くし | ◎ | カミソリ | ◎ |
綿棒 | ◎ | 洗浄機付きトイレ | ◎ |
車いす | 玄関前スロープ/階段手すり/無料貸し出し用車いす | ||
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お子様 | 子ども用スリッパ/子ども用浴衣/離乳食の用意/子ども用食器/粉ミルク用のお湯/オムツのサービス | ||
外国語 | - |
オススメお土産 | 山代温泉ミスト | ||
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近くのコンビニ | 徒歩で3分 | ||
携帯アンテナ | ◎docomo | ◎au | ◎softbank |
料金 | 45分¥3,000 | ||
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利用時間 | 14:00~21:00 | ||
※食事付きプラン(要予約) | |||
料金 | - | ||
食事の内容 | - | ||
設定日 | - | ||
受付時間 | - | ||
その他 | - |
料金 | - | ||
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利用時間 | - | ||
その他 | - |
泉質 | アルカリ性単純温泉 (低張性 アルカリ性 高温泉) | ||
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源泉の温度 | 47.4℃ | ||
湧出量 | - | ||
水素イオン | pH 8.9 | ||
溶存物質総量(ガスを除く) | - | ||
源泉の湧出状況 | 山代温泉配湯事業共同組合で集中管理して、各旅館に分配される源泉 | ||
加水/循環ろ過 | ○客室「芽生」の内風呂:加水をしない源泉100%かけ流し ○貸切露天風呂:源泉かけ流し+循環を併用(加水はなし) ○男女別大浴場:源泉かけ流し+循環を併用(加水はなし) ※女湯に備わった陶器風呂は、加水をしない源泉100%かけ流し |
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加温 | なし | ||
消毒 | あり(塩素消毒) | ||
浴槽の湯の入替 | - | ||
入浴剤 | 未使用 | ||
泉質別適応症(平成26年7月1日改定) | 神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、うちみ、くじき、慢性消化器病、痔疾、冷え性、病後回復期、疲労回復、健康増進 | ||
浴用の一般的適応症(平成26年7月1日改定) | 筋肉若しくは関節の慢性的な痛みまたはこわばり ( 関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、 神経痛、五十肩、打撲、捻挫などの慢性期 )、 運動麻痺における筋肉のこわばり、冷え性、 末梢循環障害、胃腸機能の低下 ( 胃がもたれる、腸にガスがたまるなど )、 軽症高血圧、 耐糖能異常 ( 糖尿病 )、 軽い高コレステロール血症、軽い喘息又は肺気腫、痔の痛み、自律神経不安定症、 ストレスによる諸症状 ( 睡眠障害、 うつ状態など )、病後回復期、疲労回復、健康増進 |
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湯の色 | 無色透明 | ||
飲用 | 不可(保健所の許可をとっていない) | ||
飲用の適応症 | ― | ||
におい/味 | 無味無臭 |
電車 | JR北陸本線・加賀温泉駅下車~タクシーで10分、バスで20分 | ||
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送迎 | 要予約 | ||
クルマ | 北陸自動車道加賀ICか片山津ICで下車し、約20分 | ||
周辺観光スポット | 魯山人寓居跡「いろは草庵」、薬王院温泉寺、金沢21 世紀美術館 | ||
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レクリエーション(観光農園、公園など) | 九谷焼体験 | ||
スポーツ | テニス、プール | ||
スタッフより | 若女将 多々見 美保さんからのコメント 当館の自慢は、大きな貸切露天風呂とオリジナル加賀料理です。 少しでものんびりとお過ごしいただけますよう、お役立てできましたら幸いでございます。 |
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取材日 | 2011/10/28 | ||
一部情報更新日 | 2023/07/31 | ||
※予約問合せの際は、必ず「貸切温泉どっとこむ」を見たと言ってください。 |
Socials
この宿の記事制作者
温泉コム株式会社 代表取締役
30年以上前から、全国の温泉宿をまわり続け、「貸切風呂」の必要性を宿主に説いていた。 今でも、一年の半分を温泉宿で過ごす旅人でもある。 コラムニスト、カメラマン、ドローンパイロットの他に、ホームページのデザイン、コンサルタント業務もこなす。