自在館 - コラム~総括(1)-

「栃尾又温泉」は、湯之谷温泉郷最古のいで湯と言われ、開湯は8世紀前半(1250年以上前)と伝えられている。
いくつかの開湯伝説が残っており、そのうちの一つが、奈良時代の高僧・行基(668~749年)の開湯伝説である。
行基は、都にある寺院を出て全国各地をまわり、民衆へ布教しながら、溜池、架橋、堀など社会事業を行ったことで知られている。
奈良の大仏造立の実質的責任者でもある。
そのようなカリスマ僧であるからか、古湯とよばれる歴史ある温泉地には行基による開湯伝説が残っていることが多い。
ここ越後の「栃尾又温泉」もそうであるが、まだ医療技術が発達していない時代、人々の病や傷を癒す名湯はそのぐらい尊い存在であったことだろう。

栃尾又温泉 自在館 - コラム~総括の画像 栃尾又温泉 自在館 - コラム~総括の画像
宿の眼下を流れる湯の沢川(11月初旬) 湯の沢川に流れ込む石清水(6月初旬)
栃尾又温泉 自在館 - コラム~総括の画像
源泉井戸と霊泉したの湯

はじめは木こりなど、林業に携わる人や、地元の人たちがこの温泉を利用していたが、遠方から来る人のために湯小屋を作ったのが宿の始まりといわれている。
自在館のすぐ側、「霊泉したの湯」のちょうど上あたりに、御神木に囲まれた「栃尾又薬師堂」が源泉井戸を見守るかのように鎮座している。
いつからか湯治客がここで病気平癒、健康、子宝などを祈願するようになり、薬師堂が建立されたといわれている。
祀られている薬師如来三尊像は、御神木と共に文化財に指定されており、年2回、5月と11月の御開帳の際には直接拝することができるようだ。

栃尾又温泉 自在館 - コラム~総括の画像
栃尾又温泉 薬師堂(6月初旬)
栃尾又温泉 自在館 - コラム~総括の画像
栃尾又温泉(11月初旬)

雪に覆われた薬師堂は一段と荘厳な佇まいをみせる。

栃尾又温泉 自在館 - コラム~総括の画像
栃尾又温泉 薬師堂(1月中旬)
栃尾又温泉 自在館 - コラム~総括の画像 宿への道すがら、運がよければカモシカにも会えるカモ。


栃尾又温泉は、現在3軒の湯宿が守っている。
そのリーダー的宿がここ「自在館」。
小出旧家の書物に「慶長年間に栃尾又の湯治宿に逗留した」という記録が残っており、宿としても少なくとも慶長年間(1596~1615年)には始まっていたという事で、実に400年以上の歴史を持つ湯治宿なのである。

栃尾又温泉 自在館 - コラム~総括の画像
昭和初期の栃尾又温泉
栃尾又温泉 自在館 - コラム~総括の画像
現在の自在館

その時代は、皆さんご存知のように、豊臣秀吉の天下から徳川家康による江戸幕府が開くといった大きな時代の変化のあった頃だ。
その頃は「守右衛門(もりえもん)」という屋号で営んでいたらしいが、江戸時代末期に湯治に訪れた旅の尼僧により、般若心経の冒頭に書かれている観自在菩薩の名から「自在館」とするように勧められた事で現在の屋号となった。
ちなみに、観自在菩薩とは、よく言われる観音様(観音菩薩)のこと。

栃尾又温泉 自在館 - コラム~総括の画像

現在宿を守る、25代目の星雅彦社長(昭和33年生まれ)に聞いたところ、7代前まではご先祖を遡ることができるらしいが、資料を保管していた蔵が火災に見舞われ、それ以前のことは宿に現存する資料だけではよくわからないらしい。だが、いずれにしても、歴史ある湯宿である事には間違いない。栃尾又に湯治に訪れた人々の記録や文献が数多くあり、それが温泉地と宿の歴史を紐解く重要な資料となっている。

栃尾又温泉 自在館 - コラム~総括の画像
明治30年頃の栃尾又温泉図

また、注目すべきは、この温泉地の誕生のいきさつ。
この湯に入ると、体調が良くなる。
病気も少しずつ治っていった・・・とする伝承が、この温泉地を作らせた。
もちろん、その秘密がラジウム温泉であるという事など昔の人は知らない。
泉質の特長や、含有成分の裏付けがなくても、実際にここの湯に入った人々の体験談が、この温泉の持つ力を証明してきたわけだ。

栃尾又温泉 自在館 - コラム~総括の画像
飲泉もできるラジウム温泉

やがて科学の進歩により、温泉の分析がされるようになる。明治期にキュリー夫妻がラジウムを発見すると、日本でも大正時代にラジウムブームが巻き起こった。

栃尾又温泉 自在館 - コラム~総括の画像 「日本屈指のラジウム温泉」という事が判明すると、さらに栃尾又の名は知れ渡るようになる。

今から数十年前、手前にある大湯温泉が、只見ダム工事関係者や、歓楽温泉として団体旅行客で賑わっていた頃も、ここ栃尾又温泉はかろうじて湯治宿としての姿を保ってきた。

ページ内リンクボタン


自在館 宿泊レポート


コラム
コラム

「栃尾又温泉」は、湯之谷温泉郷最古のいで湯と言われ、開湯は8世紀前半(1250年以上前)と伝えられている。いくつかの開湯伝説が残っており、そのうちの一つが、奈良時代の高僧・行基(668~749年)の開湯伝説......

貸切&客室露天 レポート
貸切&客室露天 レポート

「自在館」は、ラジウム泉、秘湯の宿・・・などのイメージで、年配のお客が多いイメージがある。しかし、渓流沿いに設えた貸切露天風呂「うけづの湯」の存在が、若い客層に強烈にアピールしている.....

施設&温泉  レポート
施設&温泉 レポート

新潟県栃尾又温泉は、高速道路でいえば、関越自動車道の小出IC下車、約20分。上越新幹線ならば、浦佐駅下車、タクシーで40分。在来線の上越線乗換で小出駅からバス35分(タクシー25分)。上越新幹線の浦佐駅であれば、予約制で無料送迎も行っている.....

客室 レポート
客室 レポート

「自在館」の客室数は全部で28室。うち、本館が23室。木造3階建ての「大正棟(旧館)」が5室。メインとなる本館の客室は、5タイプ。おひとり様歓迎の自在館では、「トイレなし和室(6畳)」タイプは「おひとり様専用」となっている。1室を除いて、湯の沢川か薬師堂に面しているので、窓の外に自然を間近に感じられ、新緑・紅葉・雪景色.....

料理 レポート
料理 レポート

万病の湯とも云われる「ラジウム温泉」の宿とあって、古より湯治宿として人々の健康を支えてきた「自在館」の食事は「心と体に優しいごはん」がテーマ.....

おまけ レポート
おまけ

宿の隣りには、江戸時代中期に建立されたという「栃尾又薬師堂」がある。昔から、湯治客は、医者の神様でもある薬師様に、悪いところが治るように祈願しているという.....

温泉検索どっとこむ

この宿のキーワード
国内屈指の放射能泉は免疫力アップに貢献
渓谷美を愛でる源泉かけ流しの貸切露天
瞑想してぬる湯で体感する霊泉したの湯
昔話に出てきそうな鄙びた山のいで湯
じっくり焼き上げた岩魚の炭火焼が絶品
こんな人はOK
歴史ある佇まいにノスタルジーを感じる方
体の不調を治すため極上の放射能泉を体感したい方
こんな人はNG
VIP待遇を求め、お客様は神様・・・を主張する方
ぬる湯の温泉に長湯する・・・のが苦手な人

自在館 基本情報

宿泊情報

IN 15:00 ※お風呂や食堂(12:30~13:30頃)の利用は、13:00チェックイン可
OUT 11:00
カード使用 可(VISA、Mastercard)
部屋の眺望 山、渓谷、渓流
部屋食 なし
夕食の内容 郷土料理をベースにした湯治食
朝食の内容 和定食

宿泊料金 ※料金は1室2名様宿泊時の1名様分 (税別)

公式HPネット予約特典 【ベストレート(最低価格)保証】
公式HPからの予約が一番お得な料金になっております。

【特典】
・自在館ポイントを貯めて1万円割引き
・2泊目以降お一人様1000円プランより割引き
・「次回お楽しみクーポン」くじ引きあり
お得なプラン 連泊割引プラン、お食事控えめプラン、座禅体験プラン、プチファスティングプランなど、詳細は公式をチェック★
本館トイレ付 和室2間ベッドタイプ(特別室「せいらん」) ¥19,470~
踏込+和室(12.5畳)+副室(4畳)+ベッドR(10畳)+洗面+トイレ(定員2~4名)
本館トイレ付 和室2間 ¥18,370~
踏込+和室(4畳)+和室(8畳)+広縁+洗面(定員2~3名)
本館トイレ付 和室ベッドタイプ ¥18,370~
踏込+和室(8畳)+洗面+洗浄機付きトイレ(定員1~2名)
本館トイレ付 和室 ¥17,270~
踏込+和室(8畳)+洗面+トイレ(定員1~2名)
本館トイレなし《おひとり様専用》 ¥15,070~
踏込+和室(6畳)+洗面※無しの部屋もあり(定員1名)
大正棟 和室( ¥10,800~
和室(6~9.5畳) or 和室二間(6畳+6畳)(定員2名)

施設情報

創業/改築 創業:1600年頃(慶長年間)/改築:令和4年(2022年)
部屋数 全28室(本館23室/旧館5室)
{トイレ付き13室/トイレなし10室/旧館トイレなし5室)
収容人数 65名
貸切風呂 うけづの湯(貸切露天風呂)・・・24時間利用可(45分単位)
うさぎの湯/たぬきの湯(貸切風呂)・・・24時間利用可(45分単位)
予約方法 :予約なし(先着順)
眺望 :川・山・渓谷 ※清掃時間あり。※混雑時は一部の時間帯を男女別浴場にする場合あり。
大浴場・他 ●男女別大浴場「うえの湯」・・・近代的な温泉施設。
 利用時間は5:00~23:00※1日ごとに男女別の入れ替えあり
●男女別大浴場「したの湯」・・・渓流沿いの昔ながらの湯舟。
 利用時間は5:00~23:00※1日ごとに男女別の入れ替えあり
●男女別大浴場「おくの湯」・・・渓流沿いの新しい施設。石造りの湯舟。
駐車場 20台
ペット 不可(盲導犬、補助犬は可) 
バリアフリー 非対応
エステ・マッサージ エステなしマッサージあり:4,000円/40分(施術受付時間:20:00~22:00 ※前日までに電話にて要予約。)
インターネット 無線LAN(Wi-Fi):ADSL ※地下及び本館奥の木造タイプを除き全館対応
DVD なし
TVチャンネル 地デジ、BS
施設 食堂・ラウンジ・ライブラリー・コインランドリー・売店・薬師堂・囲炉裏小屋
冷蔵庫のシステム 空の冷蔵庫の場合・・・持ち込みOK
ドリンクの入った冷蔵庫の場合・・・利用した分だけ申告
冷蔵庫のドリンク:あり
自動販売機 ジュースあり
売店 アイスあり
浴衣 バスタオル
タオル 石鹸
ボディソープ シャンプー
コンディショナー リンスinシャンプー
シャワーキャップ 歯ブラシ
ドライヤー ブラシ
くし カミソリ
綿棒 洗浄機付きトイレ

その他サービス・レンタル情報

車いす なし
お子様 子供用浴衣、子ども用食器、離乳食、子供用スリッパ
外国語

おまけ情報

オススメお土産 ・栃尾又温泉ラジウム納豆
・魚沼コシヒカリ
近くのコンビニ 車で25分
携帯アンテナ ◎docomo ◎au ×softbank

貸切利用

料金
利用時間
※食事付きプラン(要予約)
料金
食事の内容
設定日
受付時間
その他

男女別利用

料金 ¥1,100/1名
利用時間 11:00~13:00 ※受付12:00まで
※7日前~前日までに要予約(混雑する日は日帰り受付無しの場合あり)
その他 定休日:土曜休前日・その他宿指定の特定日(正月、GW、お盆、SW、三連休など)
※受付人数制限有 ※清掃時間あり
※立ち寄り湯の場合は、休憩所利用、昼食提供なし。

自在館 温泉情報

泉質 ①単純放射能泉(低張性 アルカリ性 温泉)・・・「うえの湯」「したの湯」「おくの湯」 Rn(ラドン)含有量 185×10-10Ci/㎏(50.9マッヘ) ②単純放射能泉(低張性 弱アルカリ性 低温泉)・・・「うさぎの湯」「たぬきの湯」「うけづの湯」 Rn(ラドン)含有量 155×10-10Ci/㎏(35.9マッヘ)
源泉の温度 ①35.4℃
②28.5℃
湧出量 ①101リットル/分
②77リットル/分
水素イオン ①8.6pH
②7.9pH
溶存物質総量(ガスを除く) ①264mg/kg
②226.6mg/kg
源泉の湧出状況 ※源泉の本数:2本
①3旅館で管理している源泉「栃尾又1号」
②自家源泉で自然湧出「栃尾又自在館1号」
加水/循環ろ過 加水なしの源泉100%かけ流し
※ただし、「うえの湯」「したの湯」「おくの湯」の上がり湯(高温の湯)は循環加温
加温 あり(塩ビ管に温めた不凍液を流しこみ、湯船の底に這わせてじんわり温めている。)
消毒 「うえの湯」「したの湯」「おくの湯」の上がり湯(高温の湯)のみ塩素消毒
浴槽の湯の入替 「うえの湯」「したの湯」・・・2日に1回
「たぬきの湯」「うさぎの湯」・・・2日に1回
貸切露天風呂「うけづの湯」・・・毎日
入浴剤 不使用
泉質別適応症(平成26年7月1日改定) 高尿酸血症(痛風)、関節リウマチ、強直性脊椎炎など
浴用の一般的適応症(平成26年7月1日改定) 筋肉若しくは関節の慢性的な痛みまたはこわばり
( 関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、 神経痛、五十肩、打撲、捻挫などの慢性期 )、
運動麻痺における筋肉のこわばり、冷え性、 末梢循環障害、胃腸機能の低下
( 胃がもたれる、腸にガスがたまるなど )、 軽症高血圧、 耐糖能異常 ( 糖尿病 )、
軽い高コレステロール血症、軽い喘息又は肺気腫、痔の痛み、自律神経不安定症、
ストレスによる諸症状 ( 睡眠障害、 うつ状態など )、病後回復期、疲労回復、健康増進
湯の色 無色透明
飲用
飲用の適応症
におい/味 無味無臭
温泉検索どっとこむ

自在館 交通アクセス&周辺情報

交通アクセス

電車 JR上越線小出駅より栃尾又温泉行きバス30分(終点下車)
送迎 要予約上越新幹線・浦佐駅より送迎あり(前日までに要予約)
浦佐駅お迎え時間:13:45頃、お送り時間:12:30頃出発
クルマ 関越自動車道小出ICから国道352号線で約20分

周辺情報

周辺観光スポット 尾瀬、駒ヶ岳、奥只見湖、銀山平、永林寺、重要文化財「目黒邸」
レクリエーション(観光農園、公園など) トミオカホワイト美術館(4~11月開館)、池田記念美術館、越後ゆきくら館、越後ワイナリー、ゆのたに手作り村 心亭
スポーツ
スタッフより 自在館:社長 星雅彦さんからのコメント

ぬる目のラジウム温泉に、ゆっくりと長湯してください。疲れたカラダが活性化していくのが分かるはずです。
取材日 2011/12/05
一部情報更新日 2023/08/31

※予約問合せの際は、必ず「貸切温泉どっとこむ」を見たと言ってください。

Socials

ページ内リンクボタン

この宿の記事制作者

温泉コム株式会社 代表取締役

30年以上前から、全国の温泉宿をまわり続け、「貸切風呂」の必要性を宿主に説いていた。 今でも、一年の半分を温泉宿で過ごす旅人でもある。 コラムニスト、カメラマン、ドローンパイロットの他に、ホームページのデザイン、コンサルタント業務もこなす。

近くの温泉宿