創業320年以上の老舗旅館「木村屋」。
初代・木村丹右衛門さんが元禄元年に創業してから、平成の今日まで、"奥羽の薬湯"として名高い濁り湯を守り続けてきた。
近年、湯を受け継いできた伝統を示すため、「木村屋旅館」から「名代の湯の宿 木村屋旅館」、「湯守 木村屋」、そして「にごり湯の宿 湯守 木村屋」へと改称していった。
しかしながら、この宿でも、源泉かけ流しの湯舟でも、保健所の指導で浴槽に塩素消毒を施している。
これに対し、本物の温泉をお客に提供したいゼネラルマネージャー(以下GM)の木村孝さんは、「仕方なく塩素を使うが、温泉好きなお客さんのことを考えたら、気分がよくないね」と、多少の矛盾を感じているようだ。
塩素消毒は、不特定多数の人が入るお風呂に関しては、(相当な湯量のかけ流しが可能であれば別だが)衛生上必要なものとしてされているが、これも一人一人が、浴槽に入る際に、簡単なかけ湯ではなく、石鹸を使ってカラダを清めてから湯浴みするといった事がされれば、レジオネラ菌の発生などは多くの場合防げるだろう。
だが、これはそれぞれの温泉利用客のモラルの問題だから、是非皆さんも考えていただきたい。
話はそれてしまったが、木村屋十四代目でもある木村GMは、その温泉を我が子のように慈しみ、大事に管理してきた。
「湯守」という文字を宿名に加えたのも、必然だったのであろう。
その木村GMは、ちょっと強面だが、お話をすると、捨て猫をそのまま飼ったりするなどの動物好きで、大変温厚なお人柄だと分かる。
他に、トロンボーンも演奏するなど音楽好きで多趣味な方なのだ。
それと同時に、毎日のように、今でも第一線に立って、スタッフそれぞれに声をかけて陣頭指揮をとっている様子は、「お客様に精一杯の接客をしよう」との気概に溢れているように見える。
「お客が喜ぶ姿を見るのが何よりも幸せ」と語る木村GMには、若いスタッフも同様に心地いい接客を心がけ、それがこの宿のクチコミ情報の高さの理由のひとつにもなっているようだ。
彼は自分の宿だけでなく、2008年までの5年間、白石市観光協会の会長の要職にあり、地元の振興に力を注いできた。

この宿の女将は、GMの奥さんでもある木村妙子さん。
「決して出すぎず、あくまでも受動態で接客をする。お客様が欲していることに対して誠心誠意応える。」といった、"おもてなしの心"を大切にされているようだ。
宿の中にあるアレンジメントフラワーは、全て女将が手がけている。
客室はもちろん、エレベーターや廊下のコーナー付近など、館内の至る所で見ることができる。
それぞれの花たちは、お客に対する感謝に対しての、女将の無言のメッセージのようにも見える。
公式HPを見てみると、"女将の便り"というブログを書き綴っており、アレンジメントの仕方など詳しく解説しているので、チェックしてみて欲しい。
木村GMとは、幼稚園以来の同級生で、お互いを意識し始めたのは、中学生の時だったという。
幼なじみで、そのまま結婚まで至ったのだが、今も仲睦まじいご夫婦だ。
この宿の、どこか温かく楽しいキャラクターも、お二人の人間性が色濃く影響しているのだろう。
宿の公式HPを見ると、期間限定のお得なプランも数多く出しているようだ。
中でも、女性グループにオススメなのは、「SMILEレディース企画」という宿泊プラン。
こちらは特別室にお泊りでき、二つの特典が付く。
特典1つ目は、POLA社製のアロマエッセシリーズ、女性1名につき1本プレゼント。
クレンジングウォッシュ、モイスチャーローション、モイスチャーミルク、リキッドクレンジングの中からお好きなものをお選びいただける。
1本2,625円相当なので、これだけで通常プランよりもオトクになるのだ。
そして、特典2つ目は、色浴衣の無料貸し出し。30種類以上あるので、お気に入りのものが見つかるはずだ。
面白いのが、「卒業旅行の思い出作りプラン」。
こちらは、人数分の発泡酒がサービスとなり、全員揃っての記念写真を撮ってくれるというもの。
12月〜3月限定のプランなので、学生の方はお早めにご予約を。
毎月11日の「ワンワンわんちゃんデー」と毎月22日の「ニャンニャンねこちゃんデー」などのペット同伴の割引プランもある。
その他、グルメな方には、ズワイガニ、アワビ、米沢牛・・・など、高級食材を使った宿泊プランも多数ラインナップしている。
いずれにしても、宿泊プランの数が多すぎて、選ぶのが大変そうにも思える。
季節ごとの客室稼働率を伺うと、8月が最も高いようだ。
ほどよい涼しさで、自然の宝庫である鎌先温泉は、やはり夏休みの家族旅行にもぴったりだろう。
続いて人気が高いのは、10〜11月の紅葉シーズン。温泉街を囲む山々が、鮮やかに染め上げられ、目を楽しませてくれる。
しかし、個人的には1〜2月に訪れることをご提案したい。
鎌先は、標高700mほどで、それほど雪深くはない。
薄く、雪化粧が施された温泉街は、非現実的な景色を描き出し、ロマンチックなムードもある。
カラダの芯まで温まる、「熱の湯」の泉質も持つ温泉に浸かるのは、至福の贅沢。
夫婦水いらずの旅行に、是非出かけてみてはいかがだろうか。
宮城県は、"奥州三名泉"と呼ばれる鳴子温泉や秋保温泉など、大きな温泉地が複数ある。
そんな宮城県にあって、鎌先温泉は、豊かな自然や秘湯的な雰囲気が好きな方に是非お奨め。
ちょっと昔であれば、布団や鍋を汽車にのせ、この地へ来て湯治をしていたようだ。
首都圏に住む方にとっては、まだまだ知名度がないようだが、宮城県でも南部に位置しているため、それほど遠くは感じないはずだ。
浦和ICから東北自動車道で4時間ほどのアクセス。新幹線なら2時間少々で辿り着く。

しかも、「湯守 木村屋」の宿泊料金は、湯治宿の名残りからか、一泊二食付きでも10,000円以下からだ。
夕食は鍋中心の会席で、地元の食材中心のヘルシーなコース料理で満足感も充分にある。
コストパフォーマンスが非常に高い宿と言える。
ちょっと豪華な温泉湯治の気分で、連泊してみるのもいい。
しかし、ここ鎌先温泉の湯治客は、めっきり減ってきたようだ。
それは、湯治客の最大の目的である温泉の量が少ないことが挙げられる。
現在、旅館は4軒しかないが、それぞれの所有する温泉の量を調べてみた(2010年1月現在)。
鎌先温泉一の老舗旅館で、歴史と伝統を感じる木造4階建ての建物がシンボリックな「湯主 一條」(全24室)は、なんと毎分10リットル足らずの湯量。
2008年頃にリニューアルを施したが、それを機に、以前とっていた湯治客を断り、今ではどちらかというと客室を今風に改装し、デザイナーズ&料理旅館の様相だ。
これも、湯量の少なさこその苦肉の策なのだろう。ちなみに露天風呂や大浴場には、冷鉱泉を循環ろ過しながら使っているとの事。
秘湯を守る会に所属している「最上屋旅館」(全48室)でも、毎分30リットル。
「すゞきや旅館」(全33室)に関しては、完全な源泉かけ流しの湯舟はなく、すべて循環ろ過装置を併用しているお風呂ばかり。
ところが、「湯守 木村屋」(全34室)はどうか。
毎分92.8リットルという、鎌先温泉で一番の湯量を誇っているのだ。
しかも、「薬湯」と呼ばれる「濁り湯」の温泉は、「湯守 木村屋」と「最上屋旅館」しか持っていない。
しかし、その「最上屋旅館」でも、源泉かけ流しの露天風呂も、貸切露天風呂もない。
「湯守 木村屋」には、それがある。
屋上の男女別露天風呂と、有料の貸切露天風呂は、正真正銘、濁り湯・薬湯の源泉100%かけ流しのお湯なのだ。
これこそ、伊達政宗、そして政宗の軍師・片倉小十郎(片倉景綱)が浸かった歴史ある温泉なのだ。
「湯守 木村屋」は、その源泉を多くのお客様に体感してもらうため、男女別大浴場には露天風呂のみ「濁り湯」を採用した。
大きな内湯には、あえて水道水の沸かし湯に切り替えた。
これも、限りある温泉を守るため。
できる限り、循環ろ過をしない、源泉かけ流しで湯浴みを楽しんでもらいたいための方策なのだ。
ここまでレポートを読んでいただければ、鎌先温泉で、「本物の温泉」が目的ならば、2軒の宿を候補に挙げられる事がお分かりになるはずだ。
そして、一般的な内風呂だけでなく、露天風呂や貸切風呂などの、エンターテイメント性や機能性を求めるのであれば、ここ「湯守 木村屋」を選択するのが、非常に賢いことがお分かりであろう。
しかも、料金も非常にリーズナブルな設定。
コストパフォーマンスもすこぶる優れている。
だからこそ、鎌先温泉随一の客室稼働率を誇っているのだろう。(J)