「湯快感 花やしき」は、岡山県・湯原温泉の中心地にあり、しかもあの人気の大露天風呂「砂湯」に近いという絶好のロケーションに佇む。
宿泊料金も手頃で、しかも週末料金アップもないという良心的な宿なのだ。
この宿を取り仕切るのは、社長の娘さんである女将の理愛(りえ)さん。
いつも笑顔を振舞っているその姿にお客さんのファンも多いという。
しかもまだ独身との事。
女将は主に夕食の時にお客様の前にあらわれるそうだ。
その料理だが、宿泊料金からは考えられない献立が用意されていた。
取材時(2007年7月)のメニューは・・・食前酒に梅酒。
先附は青大豆の周りの玉子豆腐にのし梅ゼリーとはす芋のせ。それと美作牛のたたき。
前菜はアスパラ羹ブロッコリー入り、鰻寿し、もずく、海老磯辺焼き、地鶏卵黄西京漬け、米茄子田楽、鱧の梅肉のせ、牛八幡巻き・・・など。
お造りは、境港から水揚げされたものばかりで、縞鯵(シマアジ)、マグロ、鯛、海老。焚合せはよくばり鍋と称して鱧鍋と帆立とイカの鉄板焼きを同時に楽しむ。
焼物は、銀むつの二身焼。蓋物は湯原特産の元気そば。
強肴には、新じゃがを衣に使った海老の更紗揚げといんげん、かぼちゃ、なす、そしてバナナの天ぷらも出た。
吸物は、冬瓜と花海老、じゅんさいと結び湯葉木の芽入り。
ご飯は、鯛の身と山菜の釜めし。
デザートはオレンジゼリーのせの抹茶ムース。
夕食は、質量とも充分に満足できるものであった。
味付けも上品そのもの。
これだけの豪華な料理には、宿側の客室自体の古さという弱点をカバーしたいかのような印象も受けた。
現に館内、客室もそろそろリニューアルを図ったほうが良いところも少なからずあったが、この料理と女将の笑顔で帳消しにしてしまった。
前述のように、湯の底の砂から源泉が湧き出てくるという露天風呂「砂湯」は目と鼻の先。
いつでも下駄を鳴らして行ける距離というのは嬉しい限りだ。
眼前に聳え建つ湯原ダムの下にある露天風呂は風流そのもの。
混浴だが脱衣所も完備されており、女性の方はバスタオル着用はOKなので安心して湯浴みができる。
また、宿の向い側には「湯本温泉館」なる市営の共同浴場もある。
ジャグジーもある近代的な入浴施設となっているが、この施設の利用券を1人1枚宿からサービスで受け取ることができる。
そして、なんとこの建物の地下には、湯原温泉の源泉があるのだという。
ただ、その豊富な湯量をそのまま生かせばいいものを、源泉かけ流しではなく循環式とは驚いた。
温泉ファンにとっては理解に苦しむ施設ではある。
以前は完全なかけ流し方式だったというが、地元の人間であれば一抹の寂しさを感じることだろう。
「花やしき」は、女将はじめスタッフが一丸となって接客する、居心地のいい旅館であることは間違いない。
そして、もっとお客様に満足していただきたいという意欲が感じ取れる。
チェックアウト後、なぜか振り返りたくなるような、温もり溢れる湯宿であった。
女将の人柄に触れたければ、公式HPの「女将の玉手箱」という日記をご覧あれ。
facebookページも要チェックだ。(J)